わー、すごい綺麗な金髪!
歳は頼綱《よりつな》たちと同じぐらいかなぁ。
髪が金色なだけで人ってこんなに日本人離れして見えるんだ。顔が整いすぎてて何だかちょっと怖く見える……かも。目つきも鋭いし……もしかして、不良?
「御神本《みきもと》さんが……?」
なのにそんな金髪の彼でさえ頼綱を見る目にはどこか一目置いているような気配があって。
英語とか喋られたら、私、絶対頼綱の影に隠れていたと思う。けれど彼の口から出たのは耳慣れた日本語で、私にも理解できてホッとする。
まあ、「鳥飼」と言う苗字――だよね?からして日本人なんだろうし、当たり前なんだけど。 そんな金髪の彼が。「あー、お疲れ様です」 って頼綱に向けて頭を軽く下げてくるとか……。何? 頼綱。あなた、実はここいら一帯を牛耳るボスか何かなの!?
「鳥飼《とりかい》も今日は昼までかい?」
そんな私のソワソワなんてどこ吹く風。
そう言えばどこぞの組の若頭と言った風格すら漂わせる私の雇い主が、少し目を眇めるようにして鳥飼さんを見詰めて。
次いで私にちらりと視線を注いだかと思うと、あからさまに鳥飼さんから遠ざけるように立ち位置を変えた。
やっぱり鳥飼さん、カタギの人じゃないの!?
ねぇ、頼綱、そうなの!?
ドキドキする私を横目に鳥飼さんが「いや、俺、今日は夜なんで……」 と答えて。夜……?
夜の何!?疑問符が臨界点を超えた私は、ちょんちょん……と頼綱をつついた。
そんな私に、頼綱がわざわざ肩を抱くようにして「なんだい、花々里《かがり》?」と顔を見つめてくる。
頼綱、かっこいいな。
照れるから至近距離で見下ろすの